相続が発生した時、誰(どの士業)に相続業務を依頼すれば良いのでしょうか?明確な回答
が出来る方は、ごくわずかの方ではないでしょうか。登記は司法書士ですが、遺産分割協議書
の作成は行政書士でも行えます。相続税が発生する場合は税理士に相談する事も考えられ
ますし、土地の分筆等が絡む場合は土地家屋調査士への依頼も必要です。もし相続紛争が
勃発しているのであれば、弁護士への依頼も考えられます。でも、相続のためにこんなに
沢山の士業の方の事務所を訪れるのは大変ですし、費用だってバカになりません。では一体
どうすれば手間が最小限に抑えられ、費用も安くて済むのでしょうか。
答えは簡単です。自分達で出来る事を行うのが一番安価です。そう言われても、
自分達で出来るわけが無いじゃないか!とおっしゃる方も多いでしょう。とんでもありません!
自分達で出来る事を行った後、必要な士業の方に必要な作業のみ行ってもらえば、費用も
安く済みますし、結果的には早く処理出来るのです。その方法(ポイント)をお教えします。
@相続財産の確定を行う
確定して下さい。これはしっかりと行う必要があります。後になって莫大な借金が出てきた
なんて事の無いようしっかり調べて下さい。相続財産には不動産・動産・有価証券・現金等が
有ります。相続財産リストを作成し、しっかりと把握しておいて下さい。
A財産の価格を算定する
確定した相続財産の時価を算定します。大抵の場合、一番高価な相続財産は不動産ですが、
査定に際し、不動産鑑定士に依頼する必要はありません。相続税の控除額は結構大きい
ですし(5千万円+相続人×1千万円=控除額)、官公庁の固定資産税評価証明書を見れば
一目瞭然です。不動産に、指輪等の高価な動産の時価(推定で可)、現金の計等全てを算出
すれば良いのです。よほどの資産家でない限り、控除額を超えて相続税が必要となる事は
有りませんので、自分達で算定してみましょう。これで税理士さんへの依頼は省けます。
B遺産分割協議書を作成する。
財産の算定が出来れば、相続人全員で遺産分けを協議しましょう。遺言の有る無しには注意
して下さい。もし無ければ、法定相続分に基づく分割が望ましいです。争いにならないよう、
みんなで円満に話し合って下さい。自分が少しでも多く貰いたい気持ちも分かりますが、故人
は決して皆さんの争いを望んでおられません。譲るべき所は譲る心掛けが大切です。
代表的な法定相続分
|
|
|
基本的に配偶者が財産の1/2を相続し、残りの1/2を
子の頭数で割る事となります。子が存在する限り、
被相続人の親兄弟は相続人とはなりません |
配偶者が先に亡くなっている場合、子のみで相続する
事となります。 |
|
|
前妻と離縁した場合であっても、前妻との子は現在の
妻との子と同等の相続権が生じます。ただし前妻には
相続権が有りません。 |
再婚した妻に連れ子がいる場合、連れ子には相続権
は有りません(養子縁組を行わない場合)。この場合、
前妻との子と、現在の妻とが法定相続人となります。 |
分割協議が成立したら、「遺産分割協議書」を作成しましょう。ワープロでも手書きでも構い
ません。相続の協議が整ったという趣旨の文言を入れ、相続財産を全て列記し、誰が相続
するのか明確に記せばいいだけです。誤字脱字は厳禁!協議書の記載方法が分からない
場合は、インターネットで検索すれば雛型が載ってます。⇒当HPでは未登記財産に記載。
作成出来たら、相続人全員が自署し、実印にて押印します。印鑑証明書も全員分揃えて
おけば、後日の登記申請の際に手間取らなくて便利です。押印が終われば、立派な遺産
分割協議書の作成完了です。記載に間違いが無ければ登記も通過します。協議書を自分で
作れば、行政書士さん(司法書士・調査士)への依頼は省略出来ます。なお、相続税のかから
ない場合であっても、税務署への申告は必要ですので、忘れずに行って下さい(意外と簡単
です。詳しくは管轄税務署にお尋ねください)
C司法書士・土地家屋調査士に登記の依頼をする。
登記申請を自分で挑戦しようという方は別ですが、登記が完了しなければ財産が自分の名義
となりませんので、協議が整えば司法書士さんに登記を依頼しましょう。土地の分筆。合筆等、
調査士の業務が必要となる場合は、土地家屋調査士に直接依頼して構いません。調査士と
司法書士は、どこの事務所でも常に連携して業務を行っていますので、どちらに依頼しても
登記を完了させてくれます。Bの分割協議書作成に自信が無い方は、Bの段階から依頼する
事も可能です。土地の分筆登記が必要となる分割協議書作成の場合は、土地家屋調査士
の助言を得た方が懸命な場合も多いので、予め打診しておいた方が良いかもしれません。
「分割後の土地、宅地123.45u(予定地番○番1)は○×が相続する」といった不動産を特定
する文言と予定図面の添付が協議書に必要となる場合がありますので、予めの打診が懸命
でしょう。
登記を実行する段階まで来れば、相続は終了したも同然ですので、後は新しい権利証が作成
され、自分の手元に来れば相続は完了です。
|