鉄骨・鉄筋コンクリート造の家の最大のメリットは、やはり頑丈だという点でしょう。木造住宅が
進化し、従来とは比較出来ないくらい丈夫になったとは言え、やはり鉄骨造や鉄筋コンクリート
造の家には負けてしまいます。阪神大震災でも、鉄骨・鉄筋で人命にかかわる倒壊は少なか
ったようです。それだけ頑丈ではあるのですが、デメリットも少なくありません。
まず、工事費用が高い点です。「木造<鉄骨<鉄筋<鉄骨鉄筋」の比例式は昔も今も同じ
です。木造家屋に比べて割高な感じがするのは否めないでしょう。
次に、鉄骨・鉄筋家屋は木造に比べて自由が効かない点です。リフォームで部屋の間仕切り
を変えようと思っても、鉄骨や鉄筋柱が邪魔になって出来ない事も多々あります。建築する際
には将来のリフォームも視野に入れて設計すべきでしょう。
あと、鉄筋コンクリートの場合、結露し易いという難点があります。木造住宅は適度に湿気を
吸い取ってくれますが、コンクリートの場合は吸湿機能がありません。多湿になると、びっしりと
窓ガラスに水滴が付く事もあります。その結果、コンクリートにダイレクトに貼ってあるクロスが
剥がれ始めたりします(もちろん何年か経ってからですが)吸湿機能は木造住宅の利点です。
簡単ですが、以上が代表的なメリット・デメリットです。
では、木造の方が鉄骨・鉄筋コンクリート造より住宅に適しているのでしょうか?
答えは、私は「ノー」だと思います。どちらが優位という判断は、個々ライフスタイルによって
変わってくるので、「住宅は木造が一番!」といった事は一概には言えません。私は震災まで
木造住宅に住んでおりました。震災を機に鉄筋コンクリート造住宅に建て替え、結婚を機に
現在のコンクリートマンションに住んでいます。建て替えた住宅は、柱の無い壁全体で支える
タイプのコンクリート造(小規模住宅によく使われます)で、現在住んでるタイプとは異なります。
つまり3タイプの住宅を経験しているのですが、それぞれに特徴がありました。
最初の木造住宅は、古くなってくると廊下や階段がミシミシ言っていたように思います。窓に
結露がビッシリというのは今のマンションが初めてでしたので、木造住宅では経験していませ
ん。建て替え住宅でも経験が無いので、今のマンションの造りが問題有りなのかもしれませ
ん。木造では、私が唯一苦手な生物であるゴキブリが多かったように思います。古くなった木
造は色んな所に隙間が出来て巣になるのでしょうか?コンクリートでは不思議と出ません。
木造では夏でも日が沈むとクーラーの効きが良くなるのですが、コンクリートは焼けているのか
少なからず効きが悪いように思います。冬場でも、木造はカーペットを冷たいとはあまり感じ
ませんが、コンクリートはカーペットを冷たく感じます。以上が私の経験上の考察です。
以上を理解した上で、鉄骨・鉄筋コンクリート住宅を建築しようと考えておられる方は、実際に
どのようにして注文住宅を建築すれば良いのでしょうか。検討してみます。
.@誰に建築依頼をすればいいのか?
色々考えられる点です。設計士に一切をお願いして手配して貰う方法もあれば、工務店に
直接お願いする方法もあります。ハウスメーカーに依頼する方法もあります。どれがいいのか
難しいところですが、信頼出来そうな所にお願いするのが一番です。「信頼出来そう」となると、
「大手メーカー」と安易に考えがちですが、大手メーカーは知名度と過大宣伝で集客出来る分
あまり安くはならない部分があります。建築中に倒産する可能性が最も低いので、安心を買う
ならメーカーさんが一番でしょう。しかし、宣伝費用に莫大なお金をかけるわけですから、回収
も必然的に多くなります。某メーカーは、通常の利益率の1.3倍くらい利益を上げているとも
噂されています。同じ建物を建築しても、他メーカーが300万円の利益を上げるのに対し、
某メーカーは400万円くらい上げるそうです。そのようなメーカーも存在します。
地元の工務店に依頼する場合は、近所の評判をよく聞きましょう。その工務店で建てた経験の
ある方なら状況は良く知っているはずです。工務店も千差万別。自社で全て請け負える工務店
もあれば、建築業務の大半を外注する工務店も有ります。前者に比べ、後者の方が圧倒的に
数が多いですが、どちらが良い悪いはありません。工務店に発注する場合、細かな点の融通
が結構効くので、意外とお勧めです。地元業者だけに、実際に住んでからの手直し等は即座
に対応してくれます。倒産する危険性はメーカーよりは「大」です。
あまり行われない方法ですが、設計士一切を依頼するといった方法も有ります。私のお勧め
なのですが、何が利点かと言いますと、費用の内訳がはっきりして来る点です。どういう事かと
言いますと、家一軒を建てる契約書(見積り書)というのは、めちゃめちゃ分厚くて明細の隅々
まで見る気がする人はまずいないと思います。その明細の中には、設計費や各部材の発注
費・取り付け費等が網羅されており、まるで「全部読めるもんなら読んでみろ!」と言わないか
のごとくです。設計士にお願いする場合、工事工程によって使う業者を選定出来ますので、
基礎工事はこの業者、枠組みはこの業者、内装はこの業者、といった具合に好きな業者に
発注出来ます。もちろん各工程において合い見積り出来ますので、費用を安く抑える事も
可能です。つまりメーカーに発注すると工事業者のは固定取引業者に決まってしまいますが、
設計士に発注すると自分の意志を尊重出来ます。工事工程によって見積りを何社かで上げ
て貰う事も可能です。設計士に部材発注を行ってもらい、工事のみを業者に請け負わせる事
で、一番お金のかかる「手間賃」を削減する事も可能です。もちろん設計士の手間が格段に
多くなりますので、支払う費用も高くなりますが、全体的な金額では安く済みますし、メーカーの
ように「既製品」が無く、全て自由設計ですので思い通りの住宅が出来上がります。安くて良い
鉄骨・鉄筋住宅を考えるなら、頼れる設計士に依頼するのも一つの方法です。
|