☆ここからの記載は当事務所の場合ですので、事務所によっては方法が異なります☆
事前準備が整えば、いよいよ測量の開始です。まず、所有者様(測量依頼者様)の認識する
境界点を伺います。現地で確認まではしなくても、「ブロックの中心」などと言葉での確認でも
可能です。調査士は、その証言をもとに現地で既存の境界標をさがしたりしますので、古くから
お住まいの方がいれば意見を取りまとめておいて下さい。
近隣の方々へは、まず挨拶状を送ります。いきなりヘンな作業着を着た人間がウロウロして
いると不審に思われますので、まずは郵便送付から始めます
測量開始案内が隣接各所有者に届いた後、実際に現地測量を開始しますが、その開始日に
改めて近隣の方に直接御挨拶をさせて頂きます。最終的には境界を承認してもらい、印鑑を
貰う事になるわけですから、何度も訪ねて行って信頼関係を構築する事が何より大切です。
何度も顔を見ていると、相手の警戒心も解けていくものです。挨拶の際には隣接地所有者さん
の認識する境界箇所の確認も行います。所有者と意見が違っていたとしても構わないので、
挨拶が終われば、そのまま測量開始です。測量は「トータルステーション」という専門の機械を
使用して行います(皆さんがよく街で見かける測量の機械の事です)。古くから測量に携わって
いる人は「トランシット」と呼ぶ事が多いですが、同じものだと考えて頂いて大丈夫です。
トータルステーションには高倍率の望遠鏡が内蔵されており、角度や距離をピンポイントで
正確に測る事が出来ます。
トータルステーションでまず行うのが「世界測地系基準点」より現地までの測量です。現在の
登記規則では、登記申請を行うには「世界測地系座標」によって作成された図面を提出しな
ければならないとされています。どういう事か簡単に説明すると、地球全体を中学時代に数学
で学んだ「X軸とY軸」に切り、境界点をその座標値をもって示そうというものです。つまり、
境界点の座標が「X 1423456.789 、Y 83254.236」ならば、それは地球上でその境界点の
場所でしかないと特定出来る仕組みです。仮に境界標が毀損したとしても、座標値があれば
一発で復元出来るという理論です。まだまだ問題も存在しますが、とりあえず現在の決まり事
なので、まずは「世界測地系基準点」を現地に落とす事から始めます。落とし方は様々で、
街中にある測量基準点から引っ張ってくる場合や、GPSを利用して落とす等が代表的です。
GPSの利用は費用がかかるため、前者が大半を占めているのが現状です。
測量基準点が現地に設置出来れば、いよいよ現地の測量開始です。ほとんどの事務所が、
「測量野帳」と呼ばれる現地のスケッチ(マンガみたいな絵です)を取りながら測量を進めて
いきます。測量は境界点が4点の四角い土地であっても、その境界を取り巻くブロックや建物
隣接土地の状況など、現地の状況を図面上に示しておかないと場所の特定が出来ないので、
100点くらいの測量になります。ちょっと大きな土地になれば、すぐに2〜300点の測量に
なってしまいます。この測量は、大抵の場合1〜2日で終わります。
測量が終われば、事務所にて「仮測量図面」の作成に入ります。図面の作成は、単に現況を
示す役割だけではなく、所有者・隣接者の主張する境界が正しいかどうかを過去の測量図や
法務局保管の公図等を利用しての考察にも利用します。境界主張の意見が相違する場合、
どちらの主張が理に適っているかの判断にも利用しますし、面積・寸法の考察等々、挙げると
結構な数になる考察過程を経ます。よく「測量代は高い!」と言われますが、単に図面を作成
するだけではなく、色々な考察も行っていますので、費用と日数がかかるのです。
ひととおりの考察が完了すれば、仮図面を仕上げた上で隣接所有者との立会に臨みます。
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