境界立ち会いの前に、まずは余談から。
皆さんは、土地の境界は誰が決めるものか知ってますか?
@土地の所有者同士が、「話し合い」で決める。
A土地の所有者同士が、「過去の資料に基づいて」決める。
B第三者機関(法務局)が決めている。
@もAも正しそうですよね。でも正解はBで、@Aは不適切なんです。「え〜っ?なんで?」
って声が出るかもしれませんが、土地の筆界(境界)は私人(皆さんです)の意見に左右され
る事なく公法上のものとして取り扱われるべきものなんです。意味が全くわからないと思い
ますが、噛み砕いて説明しますと、明治時代の地租改正当時に引かれた境界線、区画整理
当時に引かれた境界線、分筆申請によって引かれた境界線が公(おおやけ)に示された土地
境界であって、それらの境界は所有者の意見によって移動するべき性質のものではないと
いうのが、めちゃめちゃ法律を勉強している理論家の見解です。よって、所有者同士が
立ち会いによって決めた境界線が正しいものとは限らないという結論に到ってしまい、せっかく
立ち会ってもらった意味がなくなります。「じゃあ真の境界線はどこやねん?」私自身も問い
正したくなります。実際のところ、明治時代の境界線を現在に復元する方法はありません。
いくら頑張っても不可能です。じゃあどうしましょう?という時に、過去の資料に基づいて、
所有者本人が現地で立ち会い、双方が納得出来る境界線であれば、その結果をもってして
筆界であると認定しましょうと規定したのが現在の制度です。この点において、法律論の好き
な人達は「境界立ち会いは筆界を探しに行く行為」とか、「所有者で合意した境界を筆界に
高める行為」とか、ややこしい理論を展開しています。
結局のところ、一般の方々に大切なのはお隣さんの土地と自分の土地の「境」がどこなのかで
あって、法律家の意見なんて関係ないですよね。そういう意味では、境界立ち会いにて両者が
承諾し合った境界は、真の境界であると考えて頂いても大丈夫です(ややこしい理論は専門家
である調査士に任せておけばOKです)。
余談が長くなりましたが、境界立ち会いとはどのような手順となるのでしょうか?
「立会」とは、測量依頼者の代わりに調査士が現地にて隣接地所有者と境界の確認を行って、
境界線を確認する行為です。
@まずは立ち会い依頼のお願いをします。事務所によりけりですが、当方では電話による
依頼ではなく、書面にて依頼をします。顔写真入りの名刺も一緒に封入しています。
現地での仮測量の際に面会する機会があれば、当然挨拶をして面識ある状況をつくって
おきますが、その場合であっても立ち会い依頼は書面で送ってます。というのは次のAの
返信用葉書によって立ち会い日が明確に出来るからです。
A書面への返答は返信用はがきを封入しています。「お電話ください」だと、先方は見ず
知らずの事務所に自分から電話しなければいけなくなり、「厄介だな」と感じる人も少なくない
はずです。葉書だと記入事項も少なく、ポストに投函するだけなので、大抵の方は返信を
して頂けます。葉書を採用し始めてから、返答率が飛躍的にUPしました。
B返信された日時に合わせて、現地にて境界の確認を行います。当方の調査結果はもちろん
ですが、隣接地所有者様の境界に関する意見も十分に踏まえます。たまにある意見ですが、
我々は依頼者に有利になるような境界操作は一切行いません。常に中立公平な立場で考え、
過去の資料や皆さんの意見を踏まえた上で真の境界を見つけ出しますので、御理解下さい。
(隣接地所有者様の境界立会に関する方法は→ こちら)
境界立ち会いは、余程難航しない限りは1軒当たり10〜20分程度で終わります。立ち会って
頂いて承諾を頂いた境界点には、仮のしるしとしてペンキを付けておき、後日正式な境界標を
設置する事となります。立ち会いは何軒かありますし、且つ行政管理の道路立ち会いもあり
ますので、それら全てが完了してから一気に境界標を設置するのが一般的なやり方です。
場合によっては立ち会い風景を写真に撮っておく事もあります。主だった理由は、後日に
なって「立ち会ってない!」とか言い出されないようにするための防衛策ですが、そんな方は
滅多にいらっしゃいません。納品図書として立会写真の提出を求められる場合もあります
ので、立ち会い風景を写真に納める場合は御協力頂けますよう宜しくお願い致します。
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