故人の相続財産には、当然の事ながら「建物」も存在します。その「建物」が登記されていれば
司法書士さんに登記の手続きを依頼すれば良いだけです。しかし、中には登記を怠ったまま
現在に至り、相続が発生したケースも考えられます。そのような場合はどういった手続きを
踏めば良いのでしょうか?
まず、登記はお亡くなりになられた方からの申請を受付けて貰えません。故人が生存中に
建てた家だからと言っても、故人名義の建物として申請する事は許されないのです。では
どうすれば良いのでしょうか。結論を簡単に言いますと、≪相続される方の名義で申請≫
すれば良いのです。以下の手順で手続きをすすめましょう。
@未登記建物を相続する人を確定させる。
相続人が自分一人の場合は必要ありませんが、二人以上存在する場合は、誰が当該建物を
相続するのか、協議により確定させる必要があります。(遺言があった場合を除きます)
ポイントは、相続する権利のある方全員による協議が必要な点です。「あいつは腹違いの子で
養子に行った遠い存在で、連絡も無いから無視しておけ」なんて事は通用しません。相続する
権利のある方(推定相続人)全員による協議が必要となります(相続放棄者は除かれます)
A遺産分割協議書を作成する。
協議により、誰が建物を相続するかが決まったら、「遺産分割協議書」を作成します。これは
相続人全員が意義無く協議した事を証する書面で、法務局への添付書類ともなります。
協議書作成には、相続人全員が各自で自署し、実印にて押印する必要があります。押印が
実印である事を担保するため、印鑑証明書が必要ですので、各自で用意しておきましょう。
遺産分割協議書には、建物等の不動産だけでなく、動産の記載も出来ますし、多数の相続
財産を一括して記載します。「何は誰、どれは誰が相続」といった具合に記載しましょう。
「遺産分割協議書」の作成例
B建物表示登記を依頼する。
建物を相続する方が決定したら、いよいよ土地家屋調査士の出番です。建物の表示登記は
故人名義では無く、建物を相続される方の名義で申請します。その際、上記の分割協議書の
他に、故人が建物を建築した際の建築確認通知書が必要になりますので、用意しておいて
ください(無い場合でも登記は十分可能です。詳しくは調査士さんに尋ねて下さい)
登記が完了すると、建物登記簿の表題部の所有者は相続される方の名義となります。
C所有権保存登記を依頼する。
表示登記が完了すれば、司法書士さんに「所有権保存登記」を依頼します。表示登記が完了
すれば、所有権保存登記に遺産分割協議書は必要ありません。保存登記が完了すれば、
登記済証が権利証となりますので、相続された貴方の権利証が作成される事となります。
以上で未登記建物の相続手続きは完了です。表示登記・保存登記の申請は自分で行うには
少々手間かもしれませんが、遺産分割協議書の作成は、ワープロがあれば各自で作成可能
です。記載内容に不備があるといけませんが、書式集などを参考にすれば誰でも案外簡単に
作成出来るので、挑戦してみてもいいかもしれません(その方が費用も若干安くなります)
もちろん、一括して調査士・司法書士に依頼しも良いので、必要な時は尋ねてみてください。
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