「木造住宅」は「鉄筋」や「鉄骨」より地震に弱い! とお考えの方はおられませんでしょうか?
確かに、先の阪神大震災では古い木造住宅の倒壊が目立っており、木造に対するイメージが
少なからず悪くなった事は否定出来ません。しかしここ数年、木造住宅に大きな異変が起きて
おり、性能UPは当然の事ながら、価格も今までとは比べものにならないほど安くなってます。
まず最初に、なぜ日本の伝統的な家作りが「木」を使った家なのかを考えてみましょう。西洋の
古い文明では、「石」を基本にした家作りから始まっています。有名な史跡は「石」を使って
建てられている事くらいは、中学の社会の教科書に出てたので私でも覚えています。それに
対して、同時期の社会の教科書に出てくる日本の史跡はというと、登呂遺跡で有名な竪穴式
住居です。構造は4本の柱を軸にワラを用いた、「木」を使った建物です。なぜ日本は「石」で
はなく「木」なのか。それは日本の風土に関係があると考えられています。日本という国は、
四季により温度差・湿度差の激しい国です。木の家は「木」自身が温度調節を行うため、常に
快適な空間を提供してくれます。正確に言うと、湿度の調節を行うわけで、空気中の湿度が
高くなると、木が水分を吸収し、逆に空気中の湿度が低くなると水分を放出する調湿機能が
備わっています。これにより、気温差が生じても温度変化による湿度の変動を抑える事が可能
ですので、常に快適な空間が保ち続けられる上、結露しにくいのでカビや細菌の繁殖を抑制
する効果もあります。マンションにお住まいの方ならよくご存知と思いますが、コンクリートの
マンションだと冬の窓は結露でびっしり濡れていますよね?原因は、コンクリートが空気中の
水分を吸収出来ないからです。その「木」の特性を古くから知っていた日本人は、家を建てる
際には「石」ではなく「木」を用いていたわけです。
では、「木」の住宅は地震に弱いのか? 答えはNOです。
阪神大震災で倒壊した家屋の多くは「施工の欠陥」が原因であり、決して木造住宅だったから
倒壊したのではありません(詳しくは昨今の住宅事情に記載してあります)。加えて、昨今は
木造住宅の耐震性が飛躍的にUPしています。「そのような住宅は値段が高いのでは?」と
思うのが当然ですが、ところがどっこい、値段も従来の半値近い額で、高性能な木造住宅が
手に入るのです。そんなウソみたいな話が現実になっているのが、ここ数年の木造住宅事情
です。「安かろう、悪かろう」という言葉がありますが、今の住宅事情には適用出来ません。
ではなぜそこまで値段が下がってきたのでしょうか?答えは「今までが高過ぎ」たのです。
家を建てる際、当然どこかの業者に依頼します。その業者は下請けの工務店に作業を依頼
します。依頼を受けた工務店は行程ごとにその専門業者に更に下受けさせます。その依頼
を受けた専門業者は、実際の作業は契約している個人業者に下請けさせます。すると、その
各々に中間マージンが発生しますので金額はかなり高くなります。これを一切廃止して少し
でも安価に提供しようといった流れが、近年の発想です。これは家作りだけに限らず、物流
生産界全てに共通する近年の傾向です。これにより、従来より安い値段で家作りが出来る
ようになったというわけです。それだけではありません。施工の方法や使用部品・部材、道具、
作業行程、それら全てを見直し、ムダを一切省くといったメーカー側の努力によって更に安い
家作りが可能となっているのも事実です。しかしながら、家作り職人といえば昔ながらの封建
的な社会で、大工の棟梁を筆頭に、いわゆる「職人気質」の人が多いのも現実です。メーカー
側が作業はこうしてくれと指示したとしても、「そりゃ〜間違ってるから出来ね〜」とか言い出し
て、うまくいかないものです。それを可能にする努力が成功して初めて今の住宅の値段が実現
しているのです。よって、「安かろう、悪かろう」の言葉は今の住宅には当てはまりません。
なお、上記の文面は下記書籍「住宅新時代への指針」により知り得た事実です。土地家屋
調査士の私に家作りなど語る資格は到底有りません。私自身、「安かろう、悪かろう」という
考えが少しありましたのが、この本を読んでみてメーカーの努力と値段の安い住宅事情を
理解出来ました。
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