≪境界立会≫って何をするのか知ってますか? 当然の事ながら境界を他者と立ち会うわけ
ですが、それって一体何をどうすればいいのか、しっかりと説明出来るでしょうか? 普段から
土地の境界について考えておられる方ならともかく、そうで無い方で「どうすればいい!」と
しっかり説明出来る人は少ないと思います。もしあなたが、境界立会をしなければならなく
なった時、このページを読んで予備知識を得ておけば慌てなくて済むかもしれません。突然、
隣地の方から境界立会をお願いされてもとまどう事の無いよう、しっかりと読んでみて下さい。
★境界立会とは★
境界立会とは、境界が不明である場合や境界を毀損してしまった場合等で土地の所有者同士
が境界標を埋設する際にお互いが納得出来るよう現地にて確認し合うものです。境界の立会
は所有者本人でなくても委任された土地家屋調査士等の代理人が現地で立会しても構いま
せんが、出来る限り自分の目で確認し、納得する方が今後のためにもなります。境界を立会し
双方が合意するという行為は法律行為ですので、公に認められます。立会して双方が納得した
場合、その事実を後日に残すため、「筆界確認書」を作成して双方が1部づつ持ち合うケースが
多いです(後日のトラブルを防げるので、我々調査士も推奨してます) 登記を行う場合は
筆界確認書の取得が必須となります。
立会風景
★筆界確認書とは★
表紙に立ち会った事実関係を記載し、双方の土地所有者が記名・実印にて押印し、次葉の
測量図面と契印して印鑑証明書を添付する書面です。2部作成して双方が1部づつ取得する
のが原則です。筆界確認書は詐欺や脅迫による作成等でない限り代替わりしても有効な書面
ですので、境界立会を行った際には作成しておきましょう。(Q&Aのページ内のQ4に関連
記載があります)
筆界確認書
測量図面(現況)
筆界確認書と契印する図面はこのような現況を記載した図面が多いです
★境界標の埋設★
境界標には色々な種類があります。埋設場所の状態や今後の使用状況(ブロックを積む等)
に応じて調査士さんが適切に埋設してくださると思います。希望の種類があれば事前に相談
しても構いません。
境界標の種類
コンクリート杭
境界標の代表です。強固で頑丈です。境界点
は矢印の先端では無く、矢印方向の杭の端に
なります。 |
コンクリート杭(埋設前)
埋設の際には結構深く掘ってます。
コンクリート杭は配管との兼ね合いで埋設
不可能な場合があります。 |
|
|
金属プレート(埋設タイプ)
プレート下部に5cm位の足が付いてます。
|
金属プレート(貼り付けタイプ)
石垣の傾斜や壁にも使用出来ます。
|
|
|
プラスチック杭
強化プラスチックで出来ており、そう簡単には
割れません長さは15cm程度の物から50cm
を超える物まで有ります |
金属鋲
鉄の鋲で、頑丈且つ狭い所でも使用出来ます
が、舗装工事等で簡単に飛んでしまうのが
難点です。 |
|
|
ペンキのみ
取り壊しが決まってるブロック上や、他の境界
標の埋設不可能な場所に使います。色は専ら
「赤」か「黄」です。 |
こんな所に境界標?
ブロックの下にあるコンクリート杭です。境界
らしき所を探ってみると、昔の境界標が出て
くる場合があります。 |
|
|
これも境界標?
コンクリートで作製した杭のように飛び出て
いる境界標識です。土地を造成した当時から
50年位残ってます。 |
これも境界標?
同じくコンクリートで作製した土台にキザミを
入れてます。これだって立派な境界標識として
存在しています。 |
|
|
では実際の境界立会の流れを見てみましょう。
@境界立会の依頼が来る
郵便・電話・直接来訪、いずれの方法で打診してくるかはその調査士さんによりけりですが、まず
は境界立会の依頼が来ると思います。立ち会い依頼が来た時、その日時が仕事等でどうしても
無理な場合は遠慮せず事前に変更をお願いしても構いません。境界は、土地を維持・管理して
いく上で大切な指標ですので「面倒臭いな〜」とは考えず、むしろラッキーと思って頂いて立会に
応じてあげて下さい。依頼してくる先方の所有者にしてみれば、境界を確定しなければならない
何等かの理由が生じている可能性が高いです。仮に貴方が立会を拒否し続けた場合、先方とし
てみればなんとか境界を確定したいので、法務局が定めた「筆界特定制度」等を利用して境界
の確定を模索してくるかもしれません。そうなると余計に手間ひまがかかりますので、境界立会
には出来るだけ応じるようにしましょう。
(佐賀会・原田会員の御指摘にて一部修正。ありがとうございました。)
A依頼日時までにしておく事
境界立会の日時が決まったら、その日までにしておいた方が良い事があります。それは自分の
土地の境界を主張出来る図面等が無いか探しておく事です。法務局に備え付けの測量図面が
あれば一番確実ですが、全ての方の土地に有るとは限りません。法務局に無くても、昔に測量
した図面が権利証と一緒に保管されているかもしれませんし、おじいちゃん等が境界のあった
場所を覚えているかもしれません。事実、古い図面やお年寄りの証言を基に境界を探してみると
古い石杭が出てきたケースもあります。立会の前に少しでも多くの情報を得ている事が、境界の
判断に迷わなくて済むコツです。(測量事前準備にも用意すべき書面の記載があります)
B当日の流れ
立会時間は出来るだけ守ってあげて下さい。調査士さんは少なくとも10分以上前には現地に
来ているはずです。対面し、名刺を頂いたらまずは話を聞いてみましょう。Aの資料の提示を
求められたら、素直に提示してあげて下さい。境界立会は「駆け引き」ではなく真の境界を探り
当てる為のものですから、出し惜しみをしても無意味です。土地家屋調査士の立場から話させて
貰いますと、我々調査士は、たとえ依頼を頂いたからと言って、その依頼者に有利になるような
境界指示は絶対に致しません。あくまで中立公平に業務を遂行する事が決まりですし、依頼者
の土地を増やそうと悪意で境界同意を取りつけた事実が公になれば、土地家屋調査士の資格
が剥奪されてしまいます。そのようなリスクを負った業務遂行はまず行いませんし、依頼されても
引き受ける方はおられないでしょう。ですから、調査士さんが提示した境界点というのは実際に
測量し、色々な角度から考察して中立公平に妥当な境界点を算出しています。何故境界点が
そこになると思われるのか、しっかりと耳を傾けておいて下さい。
一連の話を聞き、提示された境界点に自分も納得出来るようでしたら立会は終了ですが、もし
相手方の主張境界点と、自分が認識している境界点が相違する場合は立会不調となります。
どうしても納得出来ない場合は遠慮なく申し出て下さい。認識に差異が生じているのに境界に
同意してしまうと後悔する事になりますし、後日になって同意出来ないと主張されると、先方
さんにも迷惑がかかってしまいます。境界が納得出来ない場合はその場で言っておいたほうが
良いでしょう。その際、どのような部分で納得出来ないかもはっきり告げてあげて下さい。
そうすれば、調査士さんは納得出来ない部分を何等かの方法で解消してくれるはずです。
ただし、土地を余分に取得する意図で悪意を持って同意しないのは「罪」になりますので御注意
ください。。。
C立会不調に終わってしまった時は
残念ながら境界点が折り合えなかった場合どうすればいいのか。単に「認めない」とばかり主張
していても仕方ないので、何等かの手段を講じなくてはいけません。このままでは、せっかくの
境界確定の機会を逃してしまいます。「確定出来なくてもウチは別に構わないから」と放っておく
のは、後に裁判に発展しかねませんし、何よりもお隣さんとのお付き合いに影響が出てきます。
もし後日、自分の方から境界立会依頼しなくてはならない状況になった時、間違いなく相手に
してくれなくなるでしょう。そのようなトラブルにならないよう、出来るだけ早く手段を講じて下さい。
最初は立会に訪れてきた調査士さんに自分の主張する境界がどうなのか判断を委ねてみても
いいでしょう。調査士さんは中立公平ですので、あなたの主張が正しければ素直に認めてくれ
ます。逆に間違っていれば否定するでしょう。相手方が依頼している調査士だから信用出来ない
といった固定観念は無くしたほうが良いです。どうしても信用出来ない場合は、費用こそかかり
ますが御自分で他の調査士に依頼するのも一つの方法です。一番確実で安心出来ます。
相手方が依頼している調査士が、信頼出来そうな調査士さんなら、その調査士さんに自分の
土地も計ってもらうのもいいかもしれません。測量して面積が登記簿面積に等しい位であれば
納得も出来るでしょう。抱き合わせ測量の分かなり安くなりますので、これも一つの手です。
いずれの方法にせよ、最終的には境界を確定出来るよう努める必要があります。
D立会後の書面交換
立会が無事終了し、双方が境界に納得出来れば、その一連の事実を後日に残すため筆界
確認書をお互いで取り交わします。筆界確認書は大切な書面ですので、権利証と一緒に保管
しておいてください。
|